なんでもよくおぼえてる

人生はからっぽである

続・おしょうがつにっき

午前7時に目が覚める。カーテンの向こうは薄く晴れた空。しかし、洗濯機をまわし始めた途端、細かい雨が降ってきた。雨は目に見えなかったけれど、ベランダから見える自動販売機で飲み物を買っている人が傘をさしていたので、それとわかった。雨は瞬く間に、…

おしょうがつにっき

風呂をわかし、湯船に柚子を浮かべている間に、新しい年になった。毎年何度も年があらたまり続ける。年があけたからといって特別なことは何もしないけど、日記でも書いてみようかな、と思いつくことくらいが、年末年始の恒例行事だ。しかし、これはもはやも…

It’s tough being a woman

2005年の今日、9月29日に、阪神タイガースがリーグ優勝したことを、さっき、神宮のヤクルト戦ラジオ中継を聞いていて、知った、というか、思い出した。 今年が、2005年と同じ曜日の並びだってこと、知ってた? 誰も知るわけない、そんなことで胸がしめつけら…

牡蠣的人間

9月17日(土) お昼の12時まで働く。土曜日の午後半休って、うれしい。会社を飛び出て、雨がポツポツ落ちている御堂筋の銀杏を見上げた途端、わたしは解放された、解放されました!と心の奥から喜びがこみあげてくる。もしかしたら、休日より、半休のほうが…

ブルペンで肩をあたためる

午前5時起床。昨日は、畳んだ布団に上半身を預け、うつ伏せに海老ぞりになって寝たためか、腰が痛くてしょうがない。なんでそんな寝方をしたのか、もう忘れた。痛む腰をさすって、えっちらおっちら、朝刊を取りに、外へ出る。 朝焼けの空はよどみなく澄み渡…

わすれようとしてもおもいだせない

毎朝、谷町4丁目駅で、中央線から谷町線東梅田方面に乗り換える人たちは何故、階段の左側通行を守らないのか。…というのが積年の疑問だ。親切にもでかでかと「左側通行しましょう」と書いてある駅の注意書きを、たぶん誰も見ていない。それはきっと風景でさ…

8月の枯れた太陽に

8月1日(月) 天気予報では不安定な空模様ということだったけれど、結局一滴も降らず、地面も空気も一日中、熱いままだった。 会社では、月初恒例の全体朝礼。普段はあまり足を踏み入れない、経理部のあるフロアへ行く。西の入り口から入って一番手前のデス…

さびしき口笛を吹きならし

血の味がする。麻酔をしたのが2時間前で、もうそろそろ効き目がなくなりつつあるのか、傷口が痛みはじめてきた。数年ぶりに歯医者通いをしていて、今日、というか、さっき、歯を抜いた。今日は激しい運動はやめてくださいね、と、歯科衛生士というのだろうか…

きみのような厳しさに

小学生のわたしが、スライムを握っている夢をみていた。オレンジのプラスチックのにおいが夢の最後の記憶で、目覚めると、東の窓から日がさんさんと降り注いでいて、頭に当てて寝ていた保冷剤がぐにゃぐにゃしてぬるかった。スライムの正体はこれ?頭の中は…

一週間

アルベルチーヌがいなくなってからの四日間、何とか耐えられたのは、おそらく「これは時間の問題にすぎない。週末には戻ってくるだろう」と自分に言い聞かせていたからだと思う。ただ、そうであっても私の心と体がしなくてはならないことに変わりはなかった…

謎の女B

お正月に、今年はもう少しだけマメに、そうだなまあ一週間に一回くらいは、ここに日記を書こう、などと思っていたけれど、ぼーっと口を開けて過ごしていたら、もう一月も末だ。 今月って明日で終わりやん、と、今朝、歯を磨きながら、冷蔵庫にマグネットでと…

きみの夢をみたのに

毎朝、アラジンストーブにマッチで火をつけるたび、強烈に煙草が吸いたくなる。マッチを擦って、まだ暗い朝の部屋にジュッという音とともに浮かび上がる炎と、硫黄みたいなにおいが、起きぬけに毎日、煙草に火をつけていた懐かしいあの頃を思い出させる。 煙…

あいたいひとなら

天気予報では晴れるはずだった。でも、いつまでたっても晴れなかった。窓の外を黒い雲が流れていく。強い風が吹いて雲を流し、隣の寺の庭の木を揺らす。赤く染まった葉っぱは、それでもまだ散らない。 午前9時、洗濯物を干し終えた後もベランダにしばらく立…

暗闇でも赤い薔薇

ひっそりと夏は去った 暖かいというだけでは淋しい 楽しい夢が叶えられるとしても ただ、それだけでは淋しい 善も悪も明るく燃え上がる ただ、それだけでは淋しい 生は私をやさしく包んでくれる 幸せというだけでは淋しい 葉は焼かれず、枝も折られないで さ…

子犬みたいに眠ってる

年が明けて、2010年になった。2010年?全くピンとこない。年を経るにしたがって、どんな未来も想像できにくくなった。わたしには、今ここにある現在しかない。そして、覚えていたい過去が思い出として少しだけ、手元にある感じ。今年の目標や抱負を並べてみ…

Let’s get on board 

午前6時、カラスの鳴き声で目が覚めた。時間を確かめてもう一度寝て、田辺聖子と一緒に気球に乗って空に浮かぶ、という夢を見て、また、7時過ぎにマンションの裏の寺の鐘が鳴って、目が覚めた。そんなに寒くないが、惰性でカーディガンを羽織って、玄関に新…

枝豆のみどり、葡萄のブルー

さっき、本の整理をしながらラジオを聞いていたら、角田光代の『いつも旅のなか』から、モンゴルに旅したときのエッセイを中島朋子が朗読していて、わたしも「なんにもないウランバートル」のどこかに立ってみたくなった。そして久しぶりに、角田光代の書い…

エルザッツ

8月13日から今日まで、夏休みだった。もうすぐ、それも終わる。 休みの尻尾につかまっているような、最終日の今日は、家で身辺整理をしていた。昼ごはんに、素麺を茹で、昨日つくった茄子の煮浸しを冷たくしておいたのを食べてから、近所のコーヒーショップ…

来た道にすいこまれる

午前5時起床。MDに録音しておいた、先週分の『世界の快適音楽セレクション』を聞きながら、朝ごはん(たまご焼き、ちりめん山椒、インスタントの若布スープに葱を加えたもの、きゅうりの漬物、ほうじ茶)をこしらえて食べ、シーツを洗濯し、シャツにアイロン…

いつもとおなじように

朝、目覚めて起きると、台所で茶をわかす。やかんに水を張って、沸騰するまでガス台の前でじっと待つ。その間、特別なことがないかぎりはたいてい、NHKFMの「バロックの森」を聴いている。「今日もいい一日でありますように」と、番組が終わる頃、湯が沸騰す…

わたしの中心にあるのは愛だ

昨夜、終電で帰ってきて、ぶらぶらと夜道を歩いていたら、シャワシャワと小出しにしたシャワーのような、雨に降られた。気温の高さのせいか、適度に温められていて、白ワインをひとりで1本飲み干している火照った身には、すこし生ぬるかった。 帰りの電車で…

何も約束するな

どう扱っていいか、よくわからなくなってきた、この、とても日記とはよべないようなもの。雲間から晴れ間。しかし、雨も降る。風に乗って、雨粒が顔に当たった。降ると思っていなかったので、傘を持たず出かけたのは、失敗だった。何ヶ月ぶりかで髪を切った…

慎み深く照らし給え

私は完璧であったことはありませんが、私は現実なのです。 『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』 昼すぎ、雨が降ってきた。暗くなったと思ったら、ベランダに雨の音。洗濯物を軒下へ入れようとサッシを開けたら、ベランダ用つっかけの横に、ジャガイモ…

ホリデーマーケット

日曜日。母の様子を見に実家へ帰るべきかなとも思ったが、億劫になってやめた。逃げてはいけないとわかってはいるが、逃げたいときはどこまでも、逃げてもいいような気がする。 クリスマスを控えて、近所のワイン屋がセールをしているというので、2本ほど赤…

甘い逡巡

曇りになって、時々、晴れたり、またどんより曇りになって、雨がぱらついたと思ったら、夜は、まるで台風なみの強風が吹き、それに雨があおられて、上から下から雨しぶきが舞う。大変、不安定な空模様。 母に電話。退院はしてきたようだが、今まで6回の投与…

そして木々は黙る

帰り道、紀伊国屋で本を買う。飯田道子『ナチスと映画』(中公新書)、梨木香歩『沼地のある森を抜けて』(新潮文庫)、ノルウェーの森特集の『芸術新潮』。梨木香歩の本は、エッセイ集と思っていたが、小説だった。この人の小説は読んだことはないが、どう…

千鳥足で進む

昨日の酒が朝まで残り、シャワーを浴びても、珈琲を飲んでも、頭がボーッとし続ける。午前中は、頭が回転せず、仕事の段取りがつかめなかった。呂律も回ってなかった気がする。自分が何を言っているのかよくわからなかった。 昼休みに、社員食堂で、温かいう…

もみじとたこ焼き

休日。母が入院中の病院へ。紅葉の季節なって、東福寺周辺は、平日というのにたいへんな人出である。普段は、ただのガレージで、タイヤが泥で汚れた軽トラックが1台とまっているだけ、というような場所にも、臨時土産屋のようなものが出来ていて、七味などを…

もとのもくあみ

休み明け。昨日が休みだったという気は全くしないけれど。朝から晩まで、バスに貼り付けられて、本当に疲れた。足腰がこって仕方がない。 母、本日、6度目の入院。これが、1クール最後の治療だ。やっと副作用から立ち直ったかと思ったら、また薬を投与される…

天に昇る竜は雨に煙る

社員旅行で、天の橋立に行く。バスで。日帰りで。連休中、他の日は全て完璧に晴れていたのに、この日だけ、すごい雨。何の暗示だろうか。 天の橋立に行ったのは、大学1年か2年のとき、女友だちと4人ほどと連れ立って、蟹ツアーを組んで以来だ。あの頃、わた…