なんでもよくおぼえてる

人生はからっぽである

美しき混乱

最近、ビールはアルコール飲料じゃないんじゃないかと思うようになった。飲んでも飲んでも酔わないから。世界が歪まない。本当にサッポロ黒ラベルなのか?瓶を確かめても間違いなくて、ウイスキーや日本酒に切り替えると、気分は少し浮き立ってはくるのだが、やっぱり世界は歪まない。酔うってことがどういうことなのか、よくわからなくなってきた。
でもあれかなあ、正気と酔いの境目がなくなってきてるってことかなあ。ないまぜになって、すべてが狂っているのか。

夕方、四ツ橋筋を南へ下り、懐かしい本町へ。歩いて帰るの、やっぱり楽しい。街行く人たちも、暑そうだね。汗を拭いたり、扇子を振り回したり、夏とたたかってる。でも信号待ちで会話している人たちや、居酒屋で乾杯している人たちは、なんだか楽しそう。そういうのを目にすると、明日もいい日になるんじゃないかって、なんとなく思う。
空気は湿っていて、それでも天気予報を見ると乾燥注意報が出ているのが不思議で仕方ない。この街の、どこが乾燥しているというのか。空気がお湯を含んでいる。
しかし雨はたぶん2週間ほど降っていなくて、空を見れば東のほうが暗くなっていて、雨雲なのかなと期待してみたけれど一滴もふらず、ただ日が暮れてただけだった。

昼休みは、深澤さんと津村さんの対談本『ダメをみがく』を読んでいた。なるほどね、と思うけど、それは当たり前で、これはわたしのような、「ダメ」を磨きすぎて黒光りしているような人間が読むよりも、人生を真摯に生きすぎていて、えー、もうちょっと力抜いたらどうよ、と思ってしまう人たちに届いてほしいんだけれど、そういう人たちにはきっと読まれていなさそうで、それがとてももったいない。たぶん、ダメじゃない人が読んでも、何のことかわけわからんかもしれない。

どこかで映画を1本みて帰りたい気分だったけれど、東急ハンズ等で日常品の買い物などして、高島屋で食料を仕入れて、帰宅。牛肉と玉ねぎのすき焼き風、トマトときゅうりのサラダ、アボカドと海老のサラダ、でビールとハイボールとワイン。
人間ドックも近いけど、だからなんだっていうのだ。再検査になっても絶対病院にいかない者に、人間ドックって何の意味があるんだろう。

この後は、週末に天神橋筋の古本屋で仕入れた岩坂恵子さんの『台所の詩人たち』(岩波書店)を読もうと思います。それからポーラ・マクレイン『ヘミングウェイの妻』(新潮社)も、楽しみだ。一日36時間くらいほしい。