なんでもよくおぼえてる

人生はからっぽである

もみじとたこ焼き

休日。母が入院中の病院へ。紅葉の季節なって、東福寺周辺は、平日というのにたいへんな人出である。普段は、ただのガレージで、タイヤが泥で汚れた軽トラックが1台とまっているだけ、というような場所にも、臨時土産屋のようなものが出来ていて、七味などを売っていた。
母は、薬を投与され、それに眠剤の成分が入っているとかで、点滴しながら寝てばかりいるので、わたしは横で、須賀敦子の『トリエステの坂道』を読んだり、病院内をうろうろして、外来で診察中の母の主治医を探してみたり(手術中でいなかった)、売店でアポロチョコレートを買ってみたり、していた。
夕方に父が来て、駅前でたこ焼きを買ってきてくれたので、それを3人で食べ、わたしは京阪電車に乗って大阪に戻った。母は、病室がたこ焼きのソースの匂いで満ちてしまったことを、しきりに気にしていた。
大阪駅でK子と待ち合わせ、新梅田食堂街の飲み屋で呑む。つまみは刺身やエイのひれなど。サイパン土産をもらう。
23時半くらいに解散し、JRに乗って帰る。酔っ払っていたので、ぐっすり眠っていたら、終点でもないのに天王寺で横の男の人が、天王寺ですよ、と言って起こしてくれた。お礼を言って降りたが、なぜあの人はわたしが天王寺で降りることを知っていたのか。寝言でも言ったのだろうか。