なんでもよくおぼえてる

人生はからっぽである

ぐるっとまわって、もとどおり

午前5時半目覚める。日記を書いて、池澤夏樹『パレオマニア』の続き。韓国篇を2章読む。童の石仏が見たくなる。この本を読んでいる間ずっと、博物館に行きたいと思い続けている。かび臭くて、人気のない、鄙びた街の片隅の博物館で、誰も見向きもしないような遠い過去の遺物を、日がな一日眺めていたい。
雨になるという予報だったので、傘を持って出かけたが、終日、曇り空だった。今はもう26日金曜になったが、まだ雨は落ちてこない。
給料明細をもらう。3月と9月、半年に一度支給されるはずの、交通費が振り込まれていない。人事に連絡しなくてはと、メールを立ち上げた時、引越しのため4月に交通経路を変更したことを思い出す。転居を重ねて、自分がいつ何を申請し、いつ誰に受理されたのか、忘れかけている。
交通費、というが、4月の終わりに今の家に引っ越してから、ほとんど地下鉄を利用していない。いつもいつも、テクテクテクテク歩いてばかりいる。
残業して、今日も、歩いて帰路をたどる。今日は、堺筋谷町筋の間の道を南へと進む。とっぷり暮れた路地の、小さな家の台所から、包丁の音が聞こえ、煮物のにおいが漂うと、ああわたしも早くお家へ帰りたいよう、と切実に思う。
紀伊国屋で『芸術新潮』を購入。特集は須賀敦子。いつもは立ち読みばかりの『芸術新潮』を買うのは実に久しぶり。なんだか『旅』を読んでいるようだ。新潮社のこのあたりの雑誌は、最近どうも差別化ができにくい。
夕食は、秋刀魚の開き、麩と大根の味噌汁、小松菜としめじの煮物、ビール、ピーナツ。
夜は少し蒸し暑い。