なんでもよくおぼえてる

人生はからっぽである

風に髪がからむので

少し、寒さやわらぐ。仕事帰りに、髪を切りに行く。予約の時間になるまで、南堀江の公園近くの喫茶店に入り、フリーペーパーを読む。昼休みに紀伊国屋でもらってきた『青春と読書』と『scripta』。フリーペーパーは読んだらすぐ処分すること。そうしないと、部屋が紙だらけになる。
自分の髪は少し短くしてもらう。美容室のお姉さんのこの度の恋は、どうもうまく運ばなかったようだ。メールがこなくなった、と言う。待っても待っても来ないねん、もう来ない気がする、送っても送っても返事がないから、もう「元気ですか」とかそんなつまらん言葉も、うてんようになってしもうた、と、言っていた。もう、あかんねんやろうなあ、って自分が一番よくわかってるねん。
もう、あかんねんやろうなあ、か。ここで、かろうじて握り締めていた手綱を放したら、飛んでいってもう永遠にもどってこないだろう。無理とわかってても、わかっているからこそ、放さないという方法もある。