なんでもよくおぼえてる

人生はからっぽである

密やかな愉しみ

朝のうちは晴れていたがどんどん曇りはじめ、夜中から雨が降る。
阪神タイガースが優勝を逃した。甲子園でシリーズを戦えないなら勝ってもしょうがない、という気がシーズン途中からずっとしていて、負けがこんできてからは、早く終わってしまえばいいのに、とばかり思っていた。こんな自分は阪神ファンとは言えない気がする。結局わたしは、甲子園がとても好きなのだと思う。あの球場の佇まいや匂いや風景や記憶、その全体が。タイガースがまた緩やかにかたむいてくれば、あの侘しくも美しい、退屈なナイターが見られるだろうか。
帰り、東急ハンズでペンを買う。この週末に、提出書類その他もろもろを書かねばならない。それが唯一親を安心させる手段であるかもしれないと思うこと以外では、職場において自分の身分が変わることなどどうでもよいが、ここまでくれば落ちてすごすご引き下がるわけにはいかない気がしてきた。これにやる気を出すためにはどうすればいいか。これに受かったらあなたに会いに行ってもいい、とか、賭けてみるか。その思いをきっとわたしは、裏切らないだろう。