なんでもよくおぼえてる

人生はからっぽである

ドキッとする瞬間

京阪電車に、中之島線というのが開通した。天満橋から、中之島まで地下を走る。天満橋から中之島界隈くらいはいつも軽く歩いてしまう者としては、わざわざ暗い地面の下を電車に乗ることはないと思うけれど、京阪電鉄関係者はそれなりに盛り上がっているようで、「あの頃この電車があればわしも勉強するのにもっと楽やった」みたいなコピーのついた緒方洪庵に扮した笑福亭仁鶴の広告は、わりとよく出来ているし、新しい電車が出たり入ったりしてる天満橋駅は、それなりに人で賑わってもいた。大阪はそろそろ従来のコテコテイメージをやめて、緒方洪庵方面を売り出せばいいのに。地味だけど、地味でいけないわけはないだろう。
紅葉にはまだまだ早いと思われるが、京都へ遊びに行こうとしている人たち、いかにも鉄道好きであるような分厚い眼鏡に太り気味の男達、孫を連れた老人。そういう人たちと共に、わたしも電車に乗って実家へ。帰りは、新車両の「快速急行中之島行」というのに乗った。まっさらの匂いがした。手には、志津屋のペッパーカルネと父が法事でもらってきた風月堂のゴーフル。
帰宅してから、常備菜をつくる。ちりめん山椒と金平牛蒡。
そして、新聞をとくと眺める。

この日に関して、これ以上、もう思い出せることはなし。