なんでもよくおぼえてる

人生はからっぽである

昼行燈

比較的穏やかな一日だったけれど、夕方から一気呵成という感じで畳み掛けられて、終業時には、ボロボロになった。突然の津波に襲われたようだった。たぶん、来週は、とてつもない一週間になるだろう。しかし、週明けのことなど考えるのはよそうと、この日の夜には思っていたはずだ。
ネットで注文していた写真集が届く予定になっていたので、早めに家へ帰る。宅急便を待つ間、南瓜を煮て、パスタにかけるアラビアータソースをつくり、ガーリックトーストを焼く。ワインの栓を抜いていたら、無事、写真集が届いた。Tが買って来た『芸術新潮』も読む。先月号もろくに読んでいないうちに、次から次へと新しいものに上書きされていく。
13ページの「アンネ・フランクの家」の記事を読んで、今年の夏になんと数十年ぶりに再読した、「アンネの日記」のことを思う。小学生の頃、アンネ・フランクという少女が書いた日記を読まなかったら、日記を書くという、この面倒くさくて楽しい、馬鹿馬鹿しくもけっこういろんな発見のある行為を、きっと知らなかっただろう。それにしても、ミープ・ヒース著『思い出のアンネ・フランク』を文春文庫は何故品切れにしているのだろうか。早く古本屋で見つけたいものだ。
ワインを飲みすぎて、早い時間にクーッと寝てしまう。10月も末というのに、温い夜。